東京大学大学院工学系研究科 光量子科学研究センター

Photon Science Center of the University of Tokyo

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イベント

第28回先端光量子アライアンスセミナー(電気通信大学)

第28回先端光量子科学アライアンスセミナーを下記の要領で開催いたします。

量子光学の最先端を研究されている気鋭の若手専門家お二人に講演していただきます。
学生向けに原理から分かりやすく話してくださるようにお願いしていますので、講演内容について詳しくない方でも楽しんでいただけると思います。
研究室の学生の皆様、関係の方々にもご案内頂き、奮ってご参加下さい。

日時 平成27年11月18日(水) 14:00 - 16:20
場所 電気通信大学 レーザー新世代研究センター(西7号館)
7階大会議室(718号室)

プログラム

14:00 - 14:05 はじめに
米田 仁紀(電気通信大学 レーザー新世代研究センター)
14:05 - 15:05 「量子もつれ光子のフーリエ光学」
清水 亮介(電気通信大学 情報理工学研究科 先進理工学専攻)
概要:
極微弱光領域での光制御では、光子―光子間の量子相関を考慮することが、本質的に重要となる。この様な量子相関は「量子もつれ」として知られているが、従来の光計測技術の基礎を成している波動光学理論の枠組みでは、この「量子もつれ」を取り扱うことは出来ない。そこで、量子光学理論に立脚した光計測技術の開発に取り組むことで、「量子もつれ」の効果を含んだ極微弱光領域における新しいフォトニクス研究としての展開が期待できる。従来、「量子もつれ」は量子情報通信技術への応用を目的に、偏光自由度の量子相関を制御した「偏光量子もつれ光子」の研究が精力的に行われてきたが、近年では周波数自由度の量子相関(周波数量子もつれ)の制御も可能となってきている。本講演では、周波数量子もつれ状態にある二光子の周波数領域分布と時間領域分布とを測定し、比較を行うことで、周波数量子もつれ状態のように強い量子相関を持った光子系に特有のフーリエ二重性を実証した結果を示す。この結果を、従来の超短パルスレーザー光に対するフーリエ二重性と比較することで、光の本質的な性質を理解する上で、「量子もつれ」を考慮することが重要であることを議論する。
休憩
15:20 - 16:20 「光子で光子を操る」
丹治 はるか(電気通信大学 レーザー新世代研究センター)
概要:
近年、光通信の重要性が高まる中で、光による光の制御が注目を集めている。微弱光の極限である単一光子により別の光子の状態を制御することができれば、光スイッチや量子ゲートをはじめとする幅広い応用が期待できる。光子同士は直接相互作用しないが、物質を媒介させれば光子間に実効的な相互作用を引き起こすことができる。しかしながら、通常はこの際に必要となる物質の非線形光学効果は非常に小さく、単一光子による効果を観測することは極めて困難である。本講演では、高反射率ミラーを組み合わせた光共振器を用いて原子と光子の相互作用を増強させることにより、単一光子で別の光子の状態を制御する方法について紹介する。

問い合わせ先

電気通信大学 白川 晃