イベント
セミナーのお知らせ: 西田 純 氏 (分子科学研究所 メゾスコピック計測研究センター 広帯域相関計測解析研究部門 助教)
以下のとおりセミナーを開催いたします。皆様のご参加をお待ちしています。
UTriplセミナー
・ALICeセミナー
GMSIセミナー
・WINGS CFSセミナー
TACMIコンソーシアムオープンセミナー
日時:2025年5月19日(月)15:30~16:30
場所:東京大学理学部1号館3階340号室 および ZOOM(どちらも事前登録制)
講演者: 西田 純 氏
(分子科学研究所 メゾスコピック計測研究センター 広帯域相関計測解析研究部門 助教)
講演題目: 単一nmスケールの弾性散乱近接場分光
金属探針先端に強く局在した近接場を用いる分光技術は、過去20年にわたり原理的に確立され、現在では広く利用されている。その中でも、弾性散乱に基づく散乱型走査型近接場光顕微鏡(s-SNOM)は、表面プラズモンやフォノンポラリトンの観測手法として定着し、さらにパルス励起と組み合わせることで、超高速局所分光へと発展してきた。一方で、s-SNOMの空間分解能は多くの場合10 nm程度にとどまり、単一ナノメートルスケール、さらにはそれを下回る分解能の実現はこれまで未踏であった。本講演では、s-SNOMの空間分解能を飛躍的に高めるための道筋について議論する。まず、赤外s-SNOMに基づくnano-FTIR法を数ナノメートル大の単一タンパク質に対する振動分光へ応用した。探針−試料間距離の変調に対して高次の調和周波数成分で信号を復調することで、5 nm以下にまで強く局在した信号が得られた。信号の局在性が高まるにつれ、散乱光中のタンパク質由来の振動成分が顕著に増強され、その増強度は探針先端を楕円体鏡面として近似するモデルにより定量的に再現された。これは、探針半径を大きく下回るスケールでの局所応答の取得が可能であることを示唆している。さらに、極低温・超高真空環境下で動作する原子間力顕微鏡をベースにs-SNOMを構築し、探針−試料間距離の変調振幅を1 nm程度に抑制しつつ高次調和周波数による復調を行うことで、実際に空間分解能1 nmのs-SNOMイメージング測定を実現した。これらの結果は、弾性散乱型s-SNOMが1 nmオーダーの空間分解能に到達し得ることを示しており、今後、原子スケールのコヒーレント分光へと展開していく可能性を拓くものと考えている。
使用言語:Japanese/日本語
紹介教員:井手口 拓郎
本件連絡先:
申込方法:Google forms(下記)にて参加の申し込みを行ってください。
当日までにご登録いただいたメールアドレス宛にZoomのURLを送付いたします。
https://forms.gle/iUzRFa5eeSvZbLWV6
※本セミナーはオープンですが、記録のため参加者のお名前、ご所属、メールアドレスをいただいております。