東京大学大学院工学系研究科 光量子科学研究センター

Photon Science Center of the University of Tokyo

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イベント

セミナーのお知らせ: 井元信之氏(東京大学理学系研究科フォトンサイエンス研究機構)

以下のとおりセミナーを開催いたします。皆様のご参加をお待ちしています。

UTriplセミナー ・PSCセミナー ・IPSTセミナー ・ICCPTセミナー ・ALICeセミナー
MERITセミナー ・CIAiSセミナー ・XPSセミナー
TACMIコンソーシアムオープンセミナー

日時:2019年8月9日(金)13:30~14:30
場所:東京大学本郷キャンパス 理学部1号館2階201b講義室

講演者: 井元 信之 氏
            (東京大学 理学系研究科 フォトンサイエンス研究機構)
講演題目: 量子コンピューターと簡易ソルバーのクラウドサービス

Abstract  PDFファイル

  前回(7月16日)量子コンピューターによる素因数分解の原理を説明したが、そこでは基本演算素子(アダマールゲートやCNOTゲート)の動作は理想的で、それらを使った大規模量子回路(冪乗剰余計算や量子フーリエ変換)も難なくできるものと仮定した。しかし現状では個々のゲートはノイジーであるし、回路のスケールは大きくできない。量子誤り訂正を使えば汎用量子コンピューターも夢ではないが、量子誤り訂正自体もまだ実用段階にない。大規模汎用量子コンピューターは本命であるが、ユーザーに供されるのは先のことである。
一方、現時点でできることから始め、クラウドサービスで実績を積み重ね、方向性を探ろうという試みが最近急に増えて来た。今回はこれらを紹介する。汎用というよりは問題を特化した、いわば簡易ソルバーであるが、幾種類かある。一つ目は ①Noisy Intermediate Scale Quantumコンピューター(NISQ)で、基本的にはゲート型汎用量子コンピューターを目指す路線のものであるが、noisyかつ小規模でできることから探そうというものである。現在量子ビット数にして二桁の規模になっている。二つ目として ②量子アニーラ/量子シミュレータがある。これは様々な組み合わせ最適化問題をイジングモデルに落とし込み、元の問題の評価関数をイジングモデルのエネルギーに見立てて最小にする(評価関数を最適にする)ような配置(組み合わせ)を求めるものである。これは量子ビット数にして四桁の規模になっている。三つ目は ③quantum inspired classical algorithmで、やっていることは現行の古典コンピューターを使っているという点で上記①とも②とも異なるが、量子コンピューターや量子アニーラの考え方を採り入れることによって古典コンピューターでも従来アルゴリズムより良いことはできないかという試みである。これはビット(古典)数はずっと多い。



使用言語:日本語
紹介教員:湯本潤司教授(理学系研究科物理学専攻)

本件連絡先:
※本セミナーはオープンですが、記録のため、参加者のお名前、ご所属、連絡先を当日ご記入いただきますのでご了承ください。