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セミナーのお知らせ: 久保 俊貴 氏 (大阪大学大学院医学系研究科 特任助教)
以下のとおりセミナーを開催いたします。皆様のご参加をお待ちしています。
UTriplセミナー
・ALICeセミナー
GMSIセミナー
・WINGS CFSセミナー
TACMIコンソーシアムオープンセミナー
日時:2025年10月2日(木)15:00~16:00
場所:東京大学理学部1号館3階340号室
講演者: 久保 俊貴 氏
(大阪大学大学院医学系研究科 特任助教)
講演題目: Time delay integrationを利用したラマンフローサイトメーターの開発
自発ラマン分光法は、低侵襲に試料の化学情報を取得できる強力な分析手法であり、生物試料への応用も広がってきている。単一細胞解析は、その代表的な応用領域の一つであり、個々の細胞が持つ多様性を理解する上で重要である。
単一細胞解析を高スループットで行う手法として広く用いられているのがフローサイトメトリーである。細胞を流体中で一列に並べて流しながら光学的に計測することで、多数の細胞を迅速に解析できる。
ラマン分光をフローサイトメトリーと組み合わせることで、蛍光染色を必要とせず、細胞の化学組成に基づいた解析が可能となる。しかし、ラマン分光は信号が微弱であり、通常は秒単位の露光時間を必要とするため、高速で試料を流しながら計測を行うフローサイトメトリーとの両立が難しい。実際、これまでに報告された自発ラマン分光に基づくフローサイトメトリーでは、生細胞測定時のスループットが約4.5 events/秒程度にとどまっていた。
本講演では、私たちが開発した、Time Delay Integration (TDI) を用いた自発ラマンフローサイトメーターについて紹介する。試料の流れとCCD検出器の電荷移動を同期させることで、秒オーダーの比較的長い露光時間と、ミリ秒オーダーの高速なスペクトル読み出しを両立した。これにより、マイクロビーズの測定で78 events/s、生細胞の測定で32 events/sという高いスループットを達成した。時間が許せば、その他の蛍光顕微鏡やラマン顕微鏡の開発事例についても併せて紹介する。
[1] M. Lindley, T. Kubo, S. Devineau, M. Li, J. Qiao, T. Yashiro, S. Iwanaga, K. Moro, and K. Fujita, “Raman flow cytometry using time-delay integration”, Optica, 12(4), 479-489 (2025).
使用言語:Japanese/日本語
紹介教員:井手口 拓郎
本件連絡先:
※本セミナーはオープンですが、記録のため参加者のお名前、ご所属、メールアドレスをいただいております。
